【クレーン基礎知識】定格総荷重表を読めるようになろう

クレーン解説
スポンサーリンク

クレーン作業を行う前に必ず必要になる作業に、機種選定と構成決定があります。

機種とブーム構成を決めるために必ず確認する”定格総荷重表”について解説。

ブーム構成と作業半径で能力が変化する

このサイト内でもよく表記する「70トンクレーン」や「200トンクレーン」というクレーンの表現があります。

これはどんな時でも70トンや200トンの荷を吊れるということではなく、最大吊り上げ性能が70トンだったり200トンだったりします。

  • 70トンクレーン・・最大70トン吊れる
  • 200トンクレーン・・最大200トン吊れる

以前70トンクレーンで70トン吊れるのかという記事の中でも軽く説明していますので気になる方は是非ご一読ください。

まずクローラクレーンでもラフタークレーンでも、ブームの長さを変化させることで、クレーン能力に幅を持たせることができます。

下のグラフは、コベルコ7200G-NEOの18.3m〜61.0mブームでの定格総荷重表を元に作った性能グラフになります。

このようにブーム構成が変わると、作業半径の範囲と、定格能力の範囲が変化していきます。

定格総荷重表の見方

コベルコの7200G-NEOを参考に定格総荷重表を見てみましょう。

縦軸に作業半径、横軸に各ブーム長さとなっており、表の中は何トン吊れるのかを書いてあります。

200トンを吊るには

7200G-NEOは200トンクローラクレーンですが、最短ブームである18.3m構成で、1番ブームを起こした状態でのみ、最大200トンを吊り上げることができます。

少しでもブームを倒すと200トン吊れなくなるため、過負荷(オーバーロード)となりクレーンは動作を停止します。

強度域と安定度域

また、表の中に太枠で囲まれた部分があるのがわかります。これは機械の強度により決められた範囲です。

強度域で性能を超えたトン数を吊るとブームなどが破損してしまう領域です。

太枠ではない部分は安定度域と呼ばれる範囲で、性能を超えた荷を吊ると破損する前に機械が転倒してしまいます。

定格総荷重と定格荷重の違い

また、厄介な言葉が出てきました。

各メーカーから公表されている能力表の全ては定格”総”荷重表となります。

  • 定格総荷重・・ブームから下全部の重量
  • 定格荷重・・フック性能や掛け数により吊れる重量

定格総荷重表に記載されているのは、ブームの下に吊り下げられる全ての重量が記載されています。

つまり、定格総荷重100トンの位置で、フック+吊り具重量が5トンあるとすると吊り荷重量は最大95トンまでとなります。

また、100トン吊れる位置でも50トンフックを装着していた場合や、ワイヤ掛け数が足りない場合は100トン吊ることはできません。

まだピンと来ないあなたに”見える化”!

解説付きの表を見てもまだピンと来ない方はグラフの方がわかりやすいかもしれません。

グラフの青い範囲がクレーンが作業可能な範囲で、青い線を越えると過負荷となります。

例えば、18.3mブームで作業半径5mのところで100トンのテトラブロックを吊ったとします。

もともと200トン吊れる範囲なので、この時の負荷率は50%となります。

ここから何メートル離れた位置にテトラブロックを運べるのか?100トンの位置から横にグラフを見ていくと、約11メートルまで倒せることがわかります。

上の表に戻って確認してみると

作業半径10mで116.5トン

作業半径12mで97.1トンと

記載されているため10メートル以上12メートル未満までのどこかまで作業可能とわかります。

実機のMLではもっと細かく性能がある

10mと12mしか表にないけどちゃんと止まるの!?と心配されるでしょうが、

機械のML(過負荷防止装置)はもっと細かいデータを元に負荷率を見ているので、ブーム角度ごとに何トン吊れるのかを常に計算しているので安心してください。

上のグラフの青い線のギリギリまでブームを倒すと負荷率100%となります。

もし青い線を超えてしまうと過負荷となりクレーンは破損や転倒を防ぐために動作を停止します。

このように定格総荷重表からエクセルなどでグラフを作ってみると感覚でどこまで作業ができるのかが読み取ることができますね。

正しい知識で安全作業

なれてくると複数の機械の定格総荷重表を見ながら機種の選定や、ブーム構成の提案が出来るようになってきます。

クレーンの性能を正しく理解し、安全な作業を心がけましょう!

コメント