実際にクレーンの整備をされている人から基本的なところ教えていただく機会がありましたので、筆者が理解できた範囲で解説します。
電源 ヒューズとは
クレーンにおいて不具合が発生したらまずはヒューズを確認するそうです。
このような基本的な回路があったとします。
通常はコイルが持つ抵抗により電流は制限されています。しかし、配線が切れたり、被覆が擦れてアースに落ちた場合、地絡や短絡いわゆるショートします。
このときコイルのような抵抗となるものがない場合、電源から大きな電流が流れ、配線が発熱し最悪の場合、線が焼けたり可燃物の近くなどでは火災を起こす恐れもあります。
これらの危険を防ぐためにヒューズと呼ばれるものを電源と各電気機器の間に挿入します。
ヒューズには5アンペアや10アンペアなど流せる電流が決まっています。
決められた以上の電流が流れるとヒューズ内の回路が溶断し、物理的に電気の流れを止めることができます。
出力 ソレノイドとは
ソレノイド(電磁切替弁)はコイルに電流が流れると電磁石になる現象を利用したアクチュエータの一種になります。
クレーンでよく使われているのは作動油を流れるようにしたり、流れる道を切り替えたりする機器として使われます。
クレーンは作動油を用いて動いているため、このソレノイドが多数搭載されているということでした。
ソレノイドはいくつもの種類があり、その中でも大きく2つあるそうです。
- 電磁切替弁
- 電磁比例弁
電磁切替弁は、電気のON/OFFにより作動油の通り道の切替を行います。これは安全装置MLなどが自動停止を行う際によく使われているそうです。
電磁比例弁は、コントローラなどが流す電流値を細かく変化させることで作動油の通る圧力を変化させることができるそうです。これはウィンチの速度調整などオペレーターが細かく調整したり、ゆっくり動作を止めたりする箇所に多く使われているそうです。
入力 センサーとは
クレーンには上のような、様々な制御を行なっているコントローラと呼ばれる機器が搭載されています。
コントローラには機械の状況を把握するためのさまざまなセンサーが接続されています。
例えばブーム角度センサが故障するとコントローラはブームがどのくらい起きているのかが分からなくなり、作業半径などを計算することができなくなります。
制御 コントローラとは
コントローラには主に、電源とアースが接続されこれが無いと起動することができません。
さらに制御を行うため、機械の状況を把握するための入力機器(センサ類)と出力機器(ソレノイドなど)が接続されています。
センサ類を目や耳、ソレノイドなどの出力機器を手とすると、コントローラはそれらを統括する脳のような役割になります。
また、コントローラには他の機器にはない特別な機能として不具合をオペレーターに知らせるエラー検出機能があります。
エラー検出機能 エラーとワーニング
いわゆるエラーとは何か?と聞くと断線検出だよと断言されていました。メーカーごとに違いはあるかもしれませんが、基本的には出力信号が出せない、センサからの信号が返ってこないなどがエラーになるとのことでした。
ワーニングはコントローラが元々持っている組み合わせから外れた状態だということでした。
少し難しかったので図の中に一例を記載しています。
ソレノイドやセンサ類には多種多様なものがありますので今後も解説記事を掲載していきたいと思います。
筆者の知らない情報や間違いがありましたらコメントいただけるととても嬉しいです。
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