尿素水(AdBlue)の取扱いと排ガスへの効果について

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KATOのホームページに、排ガス規制Tier4エンジン搭載機に使用されるAdBlueの長期保管に関するサービスニュースが掲載されていました。

半年から1年で抜き替え推奨

サービスニュース|加藤製作所

AdBlueはとは不純物を取り除いた純水に32.5%の尿素を溶かした無害、無臭の水溶液です。

取り扱いにも特別な資格や専用の設備は不要ですが、容器には注意が必要です。尿素は金属を腐食させる作用があるため携行缶などの金属容器は使えません。一般的な輸送にはビニールとダンボールを使ったパックや樹脂タンクにて運ばれます。

温度管理に注意!

尿素水は温度が高くなると、アンモニアを発生させ尿素濃度が低下します。

保管温度と使用可能期間

  • 0度 いつまでも劣化しない
  • 10度 75年
  • 20度 11年
  • 30度 23ヶ月
  • 40度 4ヶ月
  • 50度 1ヶ月
  • 60度 1週間

真夏に車の中や、日の当たる場所で放置してしまうと一気に劣化が早まりアンモニアになって使用出来なくなってしまいます。

また、−11℃を下回ると結晶化してしまい、水やお湯で再度溶けますが、32.5%を維持することは難しいでしょう。結晶がAdBlueの噴霧機器を詰まらせ故障の原因となることもあるようです。

においと白い結晶が判断基準

アンモニア臭が強いものは破棄する、白い結晶となったものは取り除く。と覚えておきましょう。

AdBlueの役割は困ったちゃんを無害にすること

そもそもなぜ最近のディーゼルエンジンにはAdBlueが搭載されているのかを簡単に記載しておきます。

こむずかしい話はムリという方は、NOxを水と窒素にして自然に返すと覚えてください。

エンジンがしていること

とても簡単に表すと、空気と燃料を混ぜて

爆発→回転→爆発→回転→爆発→回転

を繰り返しています。取り出した回転する力でタイヤを回したり、クレーンでは油圧ポンプを回したりして利用しています。

爆発(燃焼)の後に残されるもの

燃料である軽油は炭素C と水素 Hが沢山くっついた炭化水素混合物と言われる物質です。

具体的にはC15H22 (炭素が15個と水素が22個)からC17H36 (炭素が17個と水素が36個)あたりのものが軽油と呼ばれます。

これをエンジンの中で、空気(主に酸素O2と窒素N2)と一緒に燃焼させる時に発生するエネルギーを回転エネルギーに変換させ利用しています。

便利な回転エネルギーだけではなく、人体や環境に有害なものも生成されてしまいます。代表的なものとして

  • 一酸化炭素COや二酸化炭素CO2
  • 窒素酸化物NOx(一酸化窒素NO、二酸化窒素NO2)
  • 未燃焼物質すすPM

燃料(CとH:どちらも無害)と空気(OとN:どちらも無害)を燃焼することで上記の有害なものが生成されてしまいます。

化学が苦手な人でも何となく分かっていただけたかな?

無害+無害=エネルギー+困ったちゃん

この困ったちゃんを減らそうよ!と言うのが排ガス規制ですね。

昔から燃料をよく燃やすこと(空燃比や圧縮率、ターボやインタークーラなど難しいこと)で未燃焼物質PMを減らすことが可能というのは分かっていました。

しかし燃料と空気をよく燃やすと、空気に含まれる窒素N2も酸素と結合し窒素酸化物NOxを生成してしまいます。これが困ったちゃんなのです。

そこでAdBlueの出番です。尿素をアンモニアNH3に変換して高温のマフラー内に噴霧すると、

NOxとNH3がアレやコレや反応して・・・

無害な窒素N2と水H2Oに変化させることができるのです。

有害な窒素酸化物が窒素と水になる。素晴らしい技術です。

クレーンはビルや橋を造りだす素晴らしい建設機械ですが、同時に未来の子供達に美しい環境も残していかなければなりません。

正しい知識で、街も自然も美しく!

簡単なAdBlueの説明でした。

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