移動式クレーンには事故を防ぎ人命を守るための安全装置が多数搭載されています。
最近では安全装置の解除キーを現場で預かるなど、本当に必要な時にだけ解除出来るような思想が広まりつつあり、そもそも負荷率100%にならないような作業工程が組まれることが日常となってきているようです。
負荷率100%になると危険方向の操作を禁止する
クレーンに搭載されている過負荷防止装置モーメントリミッタ(以下MLと表記)はあらかじめ決められた定格総荷重表をもとに、クレーンが安全に作業可能なのかを常に計算、管理しています。
そして負荷100%を超えると、危険方向(フック巻上げ、ブーム伏せ)の操作を禁止します。
こうなるとオペレーターは荷を地上に下ろすか、安全な作業半径までブームを起こす操作しか出来なくなり機械と人命の安全が守られます。
安全方向には制限がない!
クレーンが安全に停止するということは分かりましたが、実は安全方向には制限がほとんどないのです。
下の図を例にします。
作業半径7mの位置では13トンまでしか巻き上げることはできませんが、ブームを起こす操作は安全方向であるためブームウィンチは巻き上げようと頑張ってしまうのです。
たったの1m、たったの2トンの差しかないじゃ〜ん、と思うでしょうが、吊り上げる荷の重量が不明な場合はどうでしょう。
20トンだろうが100トンだろうが安全方向である以上は油圧モーターの限界まで巻上げてしまうのです。
危険操作でなくても危険な例:樹木伐採での事故事例
河川や山林での現場で時折聞く事故に樹木の伐採があります。切断する樹木が倒れると危険なため幹に玉掛けし、切断作業を行う場合があります。しかし、想定よりも樹木が重い場合切断した瞬間時切りしたことになるためクレーンを安全側に操作する前に、木と共にクレーンも転倒してしまうという事故事例になります。
下図のようなクローラークレーンでは能力に余裕があるでしょうが、アウトリガーを使用して荒地でも水平を保つことのできるラフタークレーンなどで事例があるようです。
樹木などは見た目に反して重量があります。質量目測を誤ると木だけでなく、クレーンまで倒れてしまうのですから、伐採作業員は非常に危険です。
クレーン能力と吊り荷重量の確認!
安全に作業を行うためにもクレーンの能力把握と、吊り荷重量の確認は基本中の基本です!
クレーンの特性を理解してご安全に!
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