EV化や代替燃料、水素利用など建設機械業界における環境負荷へ配慮した試みは多数あり、そのどれもが発展の途上にあります。
今回はその中でも代替燃料のひとつとしてすでに普及し始めているGRL燃料についてご紹介します。
GTL (Gas to Liquids)燃料とは
ガストゥリキッド、直訳すると”ガスから液体へ”となります。
つまりガスを液体に変化させた燃料。
主原料は天然ガス(気体)を使います。天然ガスはガソリンや軽油と同じ炭素Cと水素Hからなる炭化水素で構成されています。他にも微量の金属や硫黄、芳香族などを含みます。
この天然ガスを水素Hと一酸化炭素COに分解して作り替えることで常温常圧で液体の燃料として製造します。後述するLNGに比べても輸送や貯蔵にもエネルギーが不要となるためとても扱いやすい燃料となります。
液体に作り替えられたGTL燃料はメリットが多数あります。
- 軽油より8.5%のCO2削減
- NOx、SOxも少ない
- ドロップイン 改造なしで使える
- ススが出ない 環境にやさしい
- 長期貯蔵可能 軽油より長い4年保存可能
- 無色無臭
- 寒冷地対応 マイナス30度でも使用可能
- 無毒性 軽油よりも早い生分解性
- 高セタン価 軽油より着火性・始動性が良い
さらに!価格帯も軽油相当となっているため導入もしやすいというメリットづくしな燃料となっています。
使用できる機械はオフロード
公道では使用できないためラフターなどは使用できないと思いますが、クローラクレーンや油圧ショベルなどオフロード車両には使用可能となります。
たったの8.5%削減で効果あるの?
2021年の軽油需要が約317億リットルという数字が経産省から出ています。この数字を見ると8.5%の削減が環境へ与える影響は決して小さくないものと思います。
製造時のCO2はないの?
実は天然ガスをGTL燃料に作り替える際、熱を使用します。
現在、その熱を材料である天然ガスを燃焼させて得る工場が多いとのことで、製造時のCO2排出量が危惧されています。
単に熱が必要であれば発電所の余剰熱などを再利用することでCO2を減らせるのではないかという試みもあるとのことです。
まだまだ環境に配慮できる余地があることから製造方法の発展にも期待されています。
天然ガスも液体にして運んでるけどGTL燃料とは違うの?
現在広く使われている天然ガスもさまざまな方法で輸送されています。
- パイプライン ガスのまま送る
- 冷やして液化 車や船で輸送
ふたつ目の液化は、マイナス160度まで冷やすことでガスが液体に変化します。水が100度で蒸気になるのに比べ、天然ガスはとても低い温度で蒸発すると言うことですね。
冷やして液化すると圧力をかけなくても体積が1/600になることから比較的容易に大量輸送が可能になります。
しかし、温度が上がると気体に戻ってしまうので常に冷やし続ける必要があるため多くのエネルギーを必要とします。
この冷やして液体にした天然ガスは液化天然ガスをLNG (Liquefied Natural Gas)と良い製造過程から異なります。
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