加藤製作所からラインナップされているCCH2000−6ではなんとタワー(ラフィング)使用時に主フックの先に補フックを使えるオプションがあります。
国内クローラクレーンメーカーでタワー仕様時に主補使えるのは300トン超えの大きな機種だけというイメージでしたが、KATO(元IHI)では汎用機である200トンクローラにこの機能を付加しています。
なぜ、この機械にのみ主補フックが同時に使えるのかというと、機械に搭載されるウィンチの数に秘密があります。
通常、クローラクレーンにはウィンチが3つ搭載されています。
KATO CCH 2000-6にはジブ起伏用のウィンチが追加されているため、主補フックの併用が可能となっています。
気になるTW吊り上げ性能
最短作業半径、最大吊り上げ性能
CCH2000-6は最短構成38.0m + 27.0m時、最短作業半径 8.7mでなんと35tとなっています。
コベルコ7200Gは、36.6m + 27.4m 構成時、最短作業半径10.9mで25.0トン。
HSC SCX2000-3は、37.0m + 27.0m 構成時、最短作業半径9.7mで27.0トン。
KATO CCH2000-6 | KOBELCO 7200G | HSC SCX2000-3 | |
---|---|---|---|
最短構成 | 38m+27m | 36.6m+27.4m | 37m+27m |
最短半径 | 8.7m | 10.9m | 9.7m |
最大定格 | 35トン | 25トン | 27トン |
手前フトコロの深さと10トン近い吊り上げ性能の差は狭小現場では強い味方になり得ます。
最大作業半径能力を比較
最大作業半径は、決して最長構成というわけでは無いので、単純な比較はできません。しかし、最長どこまで何トンの荷を持っていけるのかは重要な判断基準となります。
KATO CCH2000-6は、62.0m + 48.0m 構成で、最大作業半径81.2m にて2.4トンの吊り性能となる。最小フックは0.63トン(サルカンフックは除く)なので実質能力は1.77トンとなる。
コベルコ 7200Gは、61.0m + 48.8m 構成で、最大作業半径78.0mにて2.3トン。最小フックは0.455トンなので実質吊れるのは 1.85トン。
HSC SCX2000-3は、61.0 m + 48.0m 構成で、最大作業半径80.6mにて2.8トンとなる。最小フックは0.62トンなので実質吊れるのは 2.18トン。
KATO CCH2000-6 | KOBELCO 7200G | HSC SCX2000-3 | |
最大半径 取れる構成 | 62m+48m | 61.0m+48.8m | 61m+48m |
最大作業半径 | 81.2m | 78.0m | 80.6m |
最遠定格 | 2.4トン | 2.3トン | 2.8トン |
実質能力 | 1.77トン | 1.85トン | 2.18トン |
最大作業半径は、コベルコから2.2メートルも長く取れる81.2メートルは脅威の性能に見えます。
しかし、各メーカーがだす補フック重量を差し引くと、実質能力は1.77トンと最下位となりました。
また、最大作業半径での稼働では明らかに主フック併用は望めない能力です。手前最大能力と最大作業半径は両立は難しそうですね。
では、主補併用の利点は?
タワー(ラフィング)の特徴として、メインブームもジブも起こした手前では、補フックの許容する能力を超えることがあります。現在どのメーカーも補フックは13.5トン吊りなので、これを超える能力範囲では2〜3本掛けの一つ大きなフックに掛け替える必要があります。
つまり、KATOのCCH2000-6では、主補フックを併用することにより、13.5トンを超える手前では主フックで作業でき、13.5トンを下回る遠い範囲では補フックでスピーディに作業ができることになります。
個人的な印象では国内のタワー仕様では、メインブーム45〜55メートルあたりが多く、この仕様だと手前は20トンを超える吊り能力があるため、十分主補併用のメリットはあると考えます。
まとめ
主補フック併用は全てのブーム構成では使えないが、手前では重作業、遠くでは軽作業の両立が可能!