北海道知床半島沖で沈没した観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の引き揚げのために向かったと日夜報道される作業船「海進」に搭載されているクローラクレーンが気になっている方も多いのではないでしょうか。
ニュース映像などからコレかな?と思われる機種があったのでご紹介します。
KOBELCOマスターテック7120
ニュース映像などを見ると、グリーンの本体に白い運転席、起伏ガイケーブルが4本打ちということからコベルコの7120と予想されます。
ただし見た目からは7120なのか7120-1Fなのかまでは判別できませんでした。
- 7120 排ガス2次 三菱エンジン6D24
- 7120-1F 排ガス3次 日野エンジンP11C
7120ってどんなクレーン?
コベルコクレーン(現在のコベルコ建機に合併)から2004年4月に発表された、排ガス2次規制適合クローラクレーン。
往年の名機7100からのブラッシュアップ機とされ、バンドブレーキから油圧を用いた湿式ブレーキとなったことで話題性抜群のクレーンでした。
また、過負荷防止装置MLも、7セグ液晶表示からフルカラー液晶ディスプレイとなりより安全に多機能な頭脳を搭載。
7120-1Fってどんなクレーン?
先代7120の優れた性能をそのままに、新たな排ガス3次規制に適合するため日野P11Cエンジンを搭載し、120トンクローラクレーンFバージョンとして2006年11月より販売が開始されました。
マスターテック7000シリーズFバージョンは2011年12月に排ガス3.5次規制のGシリーズが販売されるまでの約5年間にわたって製造販売されてきました。
2次規制版7120はわずか2年半ほどの販売期間しかなかった経緯もあることから日本サルヴェージ社の「海進」に搭載されている120トンクローラクレーンは7120-1Fである可能性が高いと思われます。
補足解説:作業船とは?
移動式クレーンは全て陸上用のものだけではなく、船に搭載されるクレーンも移動式クレーンとして認識されているものもあります。
移動式クレーン構造規格には、下部走行体についての記述がありますがその中に、台船の場合は船の傾きも確認するように規定されています。
つまり、クローラで走行するにしても船で航行するにしても移動式クレーンということになります。
日本サルヴェージ社「海進」のようにもともと陸上機である7120-1Fを船に乗せてクレーン作業を行うためには
“下部走行体をクローラから船に変更します”
という変更届を所轄労働監督署へ届け出る必要があります。
また、一般的には陸上機よりも能力を落とし安全性を高めた仕様になることと、船体にクレーンを固定する固縛が必要となるようです。
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