ついに世界初となるフル電動ラフでレーンクレーンがTADANO社より発表されました。
世界初フル電動ラフター
日刊工業新聞にて12/8発売開始とする記事が出たものの、TADANO社ホームページなどでは以前の告知のみで詳細な情報はありませんでしたが、ついにそのベールを脱ぎ様々な情報が公開されています。
開発者インタビュー
製品プローモーション
1番の魅力は環境性能
なんといってもEVOLTの最大の魅力はCO2排出が完全に「 0 」ということです。
バッテリーから得られる電力のみを用いて動作するため、クレーン作業時にも走行時にもまったく排気ガスを排出しません。
世界の流れを見るとカーボンクレジットや炭素税の導入など、日本国内においてもCO2排出自体がコストになる可能性は大いにあります。
環境にやさしいことが経済性に対してもやさしくなる時代が来るとすれば、EVOLTの未来は明るいと言えます。
また、現在のクレーン全てを電動化するのにも費用と期間が必要となるためいまから準備をしておくことが重要になるでしょう。
スペックは告知通りの大容量バッテリー
気になる稼働時間については告知通りの大容量でした。
稼働・走行
- クレーン作業のみ 11時間
- 走行のみ 約70キロ
- 複合例 片道約21キロ+クレーン作業約5時間
充電方式は2種
EV車などで普及しているCHAdeMOを使用した場合約2時間半でフル充電可能とし、三相200Vでも約8時間でフル充電可能とのことです。
普通充電を使用したとしても、片道20キロ以内であれば、現場から帰ってきたときにバッテリー容量ゼロということはありえないと思いますので、翌朝にはフル充電されている想定です。
クレーン性能はG5同等!
スペックカタログを見渡してもクレーン性能についてはエンジン搭載車の最新型であるG5と同等でした。
もちろんフルオートジブ搭載のため、クレーン性能に対する不安は全くないようです。
重量と走行性能について
公表されたスペックカタログにてひとつ気になる点を挙げるとすれば、若干の重量増と走行トルクになります。
G5の重量:約25.5トンに対しEVOLTが26.5トンとなっており約1トンの差があることが分かります。開発者へのインタビュー動画では、同じサイズ同じ重量にパッケージが難しかったとありますが、やはり若干の重量増加は避けられなかったようです。
しかしながらこれほどの大幅な機器変更にたいしわずかトンの変化に抑えた点は驚くべき点だと感じました。
そして気になる点は登坂性能になります。
【EVOLT登坂能力】
tanθ = 0.41
約22.29度
【G5登坂能力】
tanθ = 0.57
約29.68度
20度を超えるような坂を走ることはあまりないとは思いますが、この登坂性能差が重量増加によるものなのか、モーターの出力によるものなのかまでは読み取れませんでした。
これからの選択肢に期待
自動車業界を見渡すと、エンジン車、ハイブリッド、EV、FCVと多様な選択肢からユーザーにあった選択をすることができます。
EVが必ずしも環境に良いとは限りませんが、建設機械業界においても多くの選択肢があることが重要と思います。
ライバル会社であるKATOもハイブリッドラフターを開発中と告知があることからこれからの建機業界に新たな風が吹くことは間違い無いでしょう。
また、油圧ショベルやクローラクレーンを製造するKOBELCOでは水素燃料電池ショベルを開発中とあることからFCV建機にも期待したいところですね。
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