国内クレーンメーカーから販売されているテレスコピックブームを持つクローラークレーンを4機種ピックアップし性能比較してみました。
ノミネート機種紹介
KATO CCH550T
11.4〜34.5メートルの長いブームを備えた最大定格55トン吊り。クローラ、カウンタウェイト、ブームを取り外すことで輸送重量を抑えることができる。
ブーム+ウィンチ脱着オプションを搭載するとフックをワイヤリングしたままブームを取り外すことができ組立分解時間の短縮が可能。
- 最大定格荷重 55トン×3.0メートル
- ラインプル 7トン
- 作業姿勢重量 60.0トン
- 本体最小重量 カタログ記載なし
- エンジン カミンズQSB6.7
KOBELCO TK550G
標準ブームと新たにショートブーム仕様が追加された55トン吊り。
ブーム脱着不要で31.1トンとなる輸送性に優れた機種。クローラやカウンタウェイトの自力脱着オプションも選択でき組立用クレーン不要で現場稼働することができる。
- 最大定格荷重 55トン×3.0メートル
- ラインプル 5トン
- 作業姿勢重量 55.3トン
- 本体最小重量 31.1トン
- エンジン MTU6R1000
KOBELCO TK750G
標準仕様とワイヤ径をアップしたFS仕様がある75トン吊り。
ブーム脱着を容易にする脱着用シリンダをオプションで選択でき、クローラ、カウンタウェイト自力脱着オプションも用意。
標準では22ミリのワイヤがFS仕様では26ミリまでアップされラインプルも7トンから11トンまで性能アップされる。
TK550Gのアニキ分。
- 最大定格荷重 75トン×3.0メートル
- ラインプル 7トン (FS仕様11トン)
- 作業姿勢重量 69.6トン (FS 72.3トン)
- 本体最小重量 27.4トン (FS 29.6トン)
- エンジン MTU6R1000
HSC 650TLX
フロントドラムとリア・第3ドラムで性能が変わるという少し変わった65トン吊り。
先の55トンと75トンの中間性能を持つ。
他の機種に比べブームフットが機械中央付近にあり全領域で80度まで起こすことができる。
本体は少し重たく作られており30トンを切りたい場合はブーム、クローラ、ジャッキ、ワイヤなどを取り外す必要がある。
- 最大定格荷重 65トン×3.0メートル
- ラインプル 7トン
- 作業姿勢重量 70.9トン (第3付 71.7トン)
- 本体最小重量 27.9トン
- エンジン いすゞ6HK1
メインブーム性能比較
やはりまず気になるのは基本性能であるメインブームの吊り上げ能力ですね。
さすがはクラス最大のTK750Gです。全領域において高い吊り上げ性能を誇ります。
しかし気になるのはTK550Gです。ライバル機であるKATO CCH550Tにはフルブームを除いて少し劣るようです。狭い現場で活躍するテレスコクローラクレーンなのでフルブームというよりは中間性能での勝負が重要ではないかと推測します。
650TLXは各ブーム長さにおいて、作業半径前半では75トンと55トンのちょうど中間の性能を維持しておりユーザーの機種選択にうまく入り込めそうな性能です。しかし、作業半径が大きくなるにつれて55トンクラスとほとんど変わらない吊り能力となるのが気になるところ。
まとめ
コンパクトでしっかりと75トン級の仕事ができるKOBELCOTK750Gを筆頭に、コンパクトさをそのまま継承したTK550G。
他機種の中間性能をうまく引き出しているHSCの650TLX。
分解輸送重量が公開されていないのが少し気になるが、TK550Gよりもラインプルと吊り能力で僅かだが有利なKATOのCCH550T。
各メーカー各機種の様々な工夫や特徴をうまく活用することで狭い現場でもスムーズに稼働することができそうです。
ラフタークレーンとクローラクレーンのいいとこ取りのテレスコピックブームクローラクレーンの今後の活躍に期待です。